2008年08月27日

[音楽]サザンオールスターズ『バラッド '77~'82』

『バラッド '77~'82』

先週行われたサザンの30周年記念ライブ。その序盤で、「“青山通りから鎌倉” って感じで…」という MC とともに、初期の楽曲群がメドレーで披露された。初期サザンが大好きな僕は大熱狂。出る曲出る曲ぜんぶ最高でもう〜。

で、そのとき演奏されていた曲のほとんどが収められているのがこのアルバム。初期のバラード系の曲を集めた編集盤で、「いとしのエリー」や「Ya Ya」といったヒット曲も入っている。

しかし他の収録曲は、大部分が地味で知名度がない曲ばかりなので、よほどのファンでもないと手は伸びないことが想像される。また発売当時の形態も特殊だった。なんと、まさに世に出たばかりの新発明である CD と、カセットでのみ生産されたのだ。レコード全盛の時代に、レコード盤を作らなかったのである。(そういえば『海のYeah!』よりも20年前にもベスト盤は出ていたのだが、これもカセットのみだった。)

このあたりからも、最初からバカ売れなどは放棄していた、かなりマニア向けの変わった商品だったといえそう。もっとも当時のサザンは常にそういうヘンな仕掛けをやっていた。アルバムジャケットもツアータイトルも。Five Rock Show なんてのもあった。

しかしそんな変化球だらけのこのアルバム、出来は抜群によい。編集盤に出来がいいなんてのもヘンな話だけど、ホントにいいのでしょうがないw。とにかく選曲がさえていて、ムダに統一感がある(←ほめてます)。思うに、楽曲にも恵まれた時代だったのかも知れない。

この企画はのちに第2弾、第3弾まで出されているが、僕はこの第1弾(だけ)がずば抜けて素晴らしいと思う。あとの2つは全然聴かないけど、このアルバムだけはいまだに、オリジナル盤をすべて持っているのにもかかわらず、僕は20年以上愛聴し続けている。

サザンのアルバムでどれがいい?というのは悩ましい質問だが、もし相手がバンド仲間だったら僕は迷わずこのアルバムをすすめたい。「TSUNAMI」や「I am your singer」とかが好きな人には…すすめないほうがよさそうかな。たぶん。

追記

いま気づいたんだけど、サザンのメジャーデビューは1978年なのに、このアルバムのタイトル中の年号は「'77」なのね。ややこしいっちゃややこしいけど、バンドの歴史を大切にした感が伝わってきて、僕はちょっと泣ける。デビュー前のサザンの歴史を伺い知ることができる書籍『ロックの子』や『突然ですがキリギリス』は、まるで青春小説のようです。学生ノリサイコー。

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