小さな町 Vejle には、プロのサッカークラブがある。Vejle Boldklub といい、国内では VB という略称で呼ばれている。(ちなみに bold は「球 (ball)」、klub は「クラブ (club)」の意)
ユニフォームはヒュンメル製でメインカラーは赤。なのでデンマーク代表のユニフォームとまるっきりそっくりで、違うのは胸のクラブロゴぐらいだ。(ちなみにデンマーク代表は 2005 年くらいからアディダス製に変更になっている)
VB は実力別にいくつかのチームに分かれており、トップチームはデンマークの 1 部リーグ SUPERLIGA 所属。SUPERLIGA には FC コペンハーゲン(略称は FCK)やブロンビーといった、欧州サッカーファンなら聞いたことがあるような由緒あるクラブも在籍している。特に FCK は、今年のチャンピオンズリーグの予選でオランダの超名門アヤックスを破って本選に進出。これには世界が驚いた。本選のグループリーグ戦は中村俊輔(とデンマーク人選手のグラベセン)が在籍するセルティックと同じグループ。他にもイングランドのマンチェスター・ユナイテッド、ポルトガルのベンフィカといった強豪揃い。本戦でもまた世界を驚かせることができるだろうか。
さて翻って、VB の実力はというと…僕が Vejle に着いた時点ではダントツの最下位だった。なにしろ 9 戦全敗、勝ち点 0、という有様だった。知人も「今年は全然勝てなくて、勝ち点すら獲れなくて…このままじゃ降格しちゃうよ…」と終始嘆き気味だった。でも僕が、「それでも地元だから、やっぱり VB のことは好きなのかな?」と尋ねたところ、「うん、そうだね」と彼は言った。
そんな知人の部屋からは森が見え、その中に照明塔が建っているのが見えた。聞くと、それは VB のホームスタジアムのものだった。
ある日の夕方、そのスタジアムに連れて行ってもらえた。スタジアムに着いた僕はなぜか異常に盛り上がり興奮してしまった。サッカー好き、試合観戦好きの血が突如騒いだとしか思えないほどの盛り上がりようだった。スタジアムは立派なものとはとても言えなかったが、サポーターの声援が確実に届きそうな規模に収まっていて、僕のようなコンパクトスタジアム愛好家にとってはとても愛すべきものだった。僕が「うおー!このスタジアムに FCK やブロンビーも来て試合するのかー!」と言ったら、彼も嬉しそうに「そうだよー!」と言った。
このスタジアムは陸上競技兼用だが、新しくサッカー専用スタジアムを建設する計画があるのだそうだ。「でも弱いからお金もなくてね…」とは知人の弁。
次の日曜日のリーグ戦がホーム開催だったらスタジアム観戦しよう!と盛り上がったのだが、残念ながらアウェイ戦だった。
そしてこのアウェイ戦は壮絶な打ち合いとなり、シーソーゲームの状態で 3-3 までスコアが伸びた。「でもいつもここから負けるんだよ…」と知人は不安そうだったが、試合はそのまま終了。VB は今期初のポイントを獲得した。ゲーム終了時の選手たちとサポーターたちは、まるで優勝したかのように喜びを分かち合っていた。
帰国後に調べていたら、アルビレックス新潟に在籍経験のある中島ファラン一生という選手が、2006 年 2 月に VB に移籍していたことを知った。現在も在籍中。試合出場もしているようだ。
11月1日現在、VB は 15 試合を終えて勝ち点が 8、相変わらず最下位にいる。
さらによく調べたら、VB が今季初の勝ち点を記録した Esbjerg 戦で、中島ファラン一生は 2 ゴールを挙げる大活躍だった!この試合はすべて Esbjerg が得点→Vejle が同点という流れで、中島は反撃ののろしを上げる 1 点目の同点ゴール(前半 10 分)と、貴重な勝ち点ゲットにつながる 3 点目の同点ゴール(後半 31 分)を叩き込んでいた。いやびっくり。
えー、昨日21日付の読売新聞朝刊のスポーツ面を読んでたら、目を引く文字を発見 シンガポール武者修行 新潟別チームで若手成長という見出しが掲げられていたそれは、アルビレックス新潟Sについての記事でした。幸いなことに、この記事は、WEBでも公開されてます。助かりま..