浦和の応援スタイルは欧州基準から見ると奇異だよ、という話。
でも僕が触れたいのは別の点。FC バルセロナのホーム、カンプノウのサポーターの描写。
それこそ小さなパス一つにも、拍手が出る。
杉山氏の欧州取材の回数はすごいので、氏の見解が事実なのだと思う。でも僕が 2002 年に見た光景に、これとは真逆のものがあり、今でも僕はそれを忘れられない。
カンプノウで僕の前の席にいた年季の入ったおじいちゃんは、ずーっとふてくされたように試合を見ていた。バルサの試合なんか浦賀に黒船が来たときから見ている、みたいな感じだった。
ちょっといいプレイでスタジアムが沸いても、このおじいちゃんは黙ったままだった。言葉を発したのは、後から来た顔見知りの老若男(女性はいなかった)と挨拶するときだけだった。
そして前半の終わりに、ルイス・エンリケがものすごいドリブルをした。自陣から一人で、相手を何人もひきずるようにかわしながら敵陣の奥深くまで突入。でも最後の最後でタッチを割ってしまった。
このプレイにスタジアムは大歓声だったのだが、おじいちゃんはこのときになってようやく初めて、ルイス・エンリケに向かって拍手をした。
僕はこれに結構感動した。あそこまでやって初めて拍手がもらえるのか!と。
こういうファンは必要なんじゃないだろうか。サッカーにも人生にも。