2008年02月11日

[日常][その他]雑誌離れ、は一方からの見解では

404 Blog Not Foundを読むのをやめた - 池田信夫 blog
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/93da1c13d0f2ad70922e3f7ce8e3d641

主旨は、質が低下したことに加えて商業臭が強くなったあるブログを読むのをやめた、というもの。

寄せられたコメントの中で、雑誌で団塊層向けの特集が多くなっている要因として「若年層の雑誌離れ」という言葉が使われていた。

この言葉におかしなところはないけれど、でもなんか、責任は若年層にある、と主張されているように読み取れてしまい、そこは気になった。僕はこう思った。雑誌側が若年層を魅了できていないということも明示したほうがフェアなんじゃないかな、と。

まあ、同じ現象について主客を逆にして述べているだけなんだけど、でもこうしたほうがより現象の真実に近づけるんじゃないかなと思う。

同様の表現に「若年層の活字離れ」がある。これについても、活字メディアが若年層を魅了できていないのでは、と考えたほうがいいと思う。若年層が活字から遠ざかるのには、それなりの合理的な理由があるんじゃないのだろうか、という推察。

それで思い出したエントリがあったのでご紹介。よしてるくんのブログの何かのエントリからたどっていって読んだやつで、僕には結構衝撃的だった。引用箇所は、なぜアフリカでエイズ予防がなかなか広がらないのか、についての考察。

アフリカのエイズの新しい分析……それと経済学の何たるか。 - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20061122/p1
生でやったところで
エイズにかかる確率はもともとそんなに高くないし、
万が一エイズになっても発症して死ぬのは 10 年以上先だ。
その頃に自分が確実に生きていると思えば、
エイズ予防のために余計な手間もかけよう。
でも、どうせその頃は死んでるだろうと思えば……
リスクは知っていても手はうたない!

バカだからエイズ予防をしないんじゃない。
ちゃんと賢く合理的な計算に基づいて、
そんなことをするだけ無駄だという陰惨な結論を、
意識的か無意識のうちにか出してしまうだけの知恵があるからこそ
予防しないわけだ。
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よしてる (2008年02月14日 18:19)

山形氏のエントリは、マイブログの「貧困の終焉」エントリからのものだね。そう、大多数の潮流は短期的には合理的なはずなんだ。だから世の中の問題の多くは、まず「こいつら何も考えてないから」ではなくて、「何が彼らをそうさせているのか」という視点で考えないと解決に近づいていきにくいと思うんだよね。難しいことですが。

こりぃ (2008年02月14日 20:25)

>よしてるさん <br> <br>> 「何が彼らをそうさせているのか」という視点で考えないと解決に近づいていきにくい <br> <br>今のワタシの研究は,まさにこれなので,思いっきり反応です. <br>難しい.簡単にわかるぐらいなら,行き違いもないですし.(苦笑) <br>しかも,人の数だけ多様. <br> <br>わかろうとすること自体がムチャなのかもしれませんが,なんらかのセグメント毎には,そのメカニズムに近づけるとは思うのです. <br> <br>ヒトの日常行動については,難しさばかりが気になってしまいますが,事故調査なんかについては,有用な視点です. <br> <br>事件・事故調査で大事なのは,まさになぜその人がそういう行動をとってしまったかの原因解明です.事故対策で多いのは,ミスをしてもカバーできるシステムを構築すること,ですが,これはもちろん大切.しかし,なぜミスをしなければならなかったか,という視点の追求が,特に日本では軽視されている気がします. <br> <br>脱線しました. <br> <br>「何が彼らをそうさせているのか」を知るということについては,自分の常識,世間の常識をコワしてからアプローチしないといけないというのが,最大の困難を生んでいますね. <br> <br>はあ,難しい.困った. <br> <br>

けんご (2008年02月19日 22:36)

いただいたコメント拝読して、僕もうーんと考えてしまいました。うーん。 <br> <br>ふと身近な体験を思い出しました。 <br>ある問題が発生したときのことです。 <br>僕は再発防止のために原因を調査していたのですが、 <br>その途中で「それは犯人探しになるからやめれ」と止められました。 <br> <br>後に、問題は再発しました。そりゃそうだよなと皆が思いました…。 <br>だって、対策を打つどころか、調査すらできていなかったのですから。

こりぃ (2008年02月20日 09:44)

>けんごさん <br> <br>ええ,まさにそれです.(苦笑) <br>「減点主義」の弊害といわれているやつ. <br> <br>問題を放置してした結果,問題や事故が再発するほうが,会社や社会に与えるダメージがでかいのに. <br> <br>原因究明は,犯人探しではないんですがね, <br>責任の(人的)主語を特定することの意味というのは,原因追及を含め,その事後処理を主体的にやる責任者ないし担当者を決めることにあると思うのですが,日本では,とりあえず辞任とか辞職ばっかり.それは責任取ったことにならないわけで. <br> <br>それを求める日本のメンタリティーもどうかと思いますが. <br> <br>昔勤めた会社(製造業)は,封建的だったので,戦犯探しが大好きでしたが,その後処理をやりあげれば,評価されていました.そういう経験をした人が代々社長になっているし. <br>ぼろぼろだけど,なんとか会社として踏ん張っているひとつの理由かもしれません. <br> <br>ただ,製造業と非製造業では,原因究明の質が違うとは思います. <br>モノ相手ならデータとれますが,ヒト相手だと,データの入手の困難さはケタ違いだろうと. <br> <br>ケーサツみたいに,第3者的な権利(権力?)をもった人がコトに当たらないと,すすまないんだろうと思います.さいきん,コンプライアンス本部みたいのを作る会社が増えましたが,内部組織という立場でどこまで機能しているか,興味のあるところです. <br> <br>と,理想論の視点で批判ばかりしましたが,それがどれぐらい困難であるかは理解しているつもりです.(苦笑)

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