10cc の名盤『How Dare You !』*1。この作品に関する思い出話をひとつ。
時は1989年。大学浪人中だった18歳の僕が音楽好きの先輩の家を尋ねたら、先輩は1976年のミュージックライフを見せてくれた。新譜紹介のページを眺めていたら、もはや誰にも知られていない作品ばかりが大々的にフィーチャーされていて、僕は時の流れの残酷さとメディアのでたらめさを併せ知った気になった。
僕は先輩に、「このなかで現代でも残っている作品ってありますかね〜」と聞いてみた。すると先輩は、「あるじゃん。これこれ。」といって一番大きい記事を指差した。それがこの『How Dare You !』だった。僕はまだこの作品のことを知らなかった。
名盤の予感はとてもしない B 級テイストなジャケット。しかし中身はまごうことなき名作。超おすすめです。
さてこの作品に収録されている彼らの代表作が「I'm Mandy, Fly Me」。素晴らしい曲で僕は大好きだったのだが、実は今日初めて歌詞を読んだ。そしてなおいっそう、感動した。歌詞と演奏にちゃんと関係性があって、あのドラマチックな構成にはちゃんと意味があったとわかったので。
と同時に僕は、これまでの自分がとても恥ずかしくなった。あのリプライズの意味性を理解していなかったのに、大声で「この曲いいよ!」と言い回っていたので。
*1 邦題『びっくり電話』おいおい