◆ [バンド]プロミュージシャンになれる人ってのは、音楽を愛していることが伝わってくる人だ

知人がサークルの OB 会ライブに出演するので見に行かせてもらった。

すると別のバンドに、二十歳手前くらいのプロ志望の人がいた。そのバンドにいる OB のご子息とのこと。

この人の演奏が、よくなかった。

一見、テクニックはある。ただしよく聴けば雑だったし、特筆すべきほどのものではなかったというのが僕の感想。

でも本当の問題はそういった技術面ではなく、彼の演奏姿にわくわく感がまったくない、という点。それが僕には問題だった。

演奏も完全に独り善がりで、バンドの音にちっともなじんでいなかった。というか、なじもうという気がまったくないんだろうなこの人は、と僕には感じられた。なにせ、立ち振る舞いや仕草から受ける印象もよくなかったし。

でもプロになるなら、演奏技術と同じかそれ以上に、コミュニケーション能力がとっても必要なんじゃないのかな。そりゃスーパーな技術があれば別だけど、並の技術でしかも印象悪い人が仕事をもらうのは、かなり難しいと思うんだけど、そんなことはないのかな。音楽業界。

まあ二十歳そこそこの時点でそこまで求める必要もないけれど。でも、できていた人を僕は見たことがある。それは後述。

さて続いて出演した現役学生のバンドは、テクニックはへただった。でも、とってもいい演奏だった。バンドって楽しいよな！音楽っていいよな！という気持ちにさせられる演奏だった。

僕は当然、さっきのプロ志望の人よりも、この現役学生バンドのほうを指示する。

その場にいたとある著名プロセッションミュージシャンは、ニコニコしながらその現役学生のバンドの演奏を聴いて、ノリノリで踊っていた。そしてこの人の演奏は、そりゃもううまかった！

僕はこんな言葉を思い出した。

実るほど
頭（こうべ）を垂れる
稲穂かな

僕は高校時代に、現在プロでバリバリに活躍しているミュージシャンと一緒にバンドをやらせてもらったことがある。彼はもう当時から、メッチャクチャにうまかった。

しかも彼は、うまいうえに、音楽の楽の字を体中で表現できている人だった。

プロになれる人ってのは彼のように、超絶的に飛び抜けた技術に加えて、音楽の喜びを理解し表現できる人だ。すさまじくうまくて、かつ音楽を愛していることが伝わってくる人だけが、プロミュージシャンになれるのだ。僕には彼が、そういう指針になっている。

◆ [バンド]バンドにはいいバンドとわるいバンドしかない

僕は、わるいバンドやミュージシャンに関しては、ケチョンケチョンに言う傾向がある。セッションとかは全然気にならないが、有料ライブとかだともーすごい。しかしこの性癖を、直したり抑えたりするべきなのかどうか、それはもうずっと悩んでいる…。

ただちょっと弁解すると、ホントは僕は、うまいとかへたは、どうでもいいと思っている。

スネークマンショーも言っていたが（言ってない）、音楽あるいはバンドは、いいかわるいかのどちらかでのみ語るのが本質だと思っている。

つまり、テクニックは二の次だ。実際、へたなのにそれが気にならないほどすてきなバンドを、僕も知っている。

大雑把にマトリクスにすると、四分割できそうだ。

わるいと書くとすごく心象が悪いのがイヤンだが、換言すると「つまらない」って感じ。もう見なくてもいいや、みたいな。実際僕はそういうつまらないバンドを見てしまったときは、たとえどんなにバカテクであろうが、たいてい途中で帰る。 帰りたくなる。でも何があるかわからないから、最後まで見届けることのほうが多いけど。

◆ [バンド]ライブではアンケートをお願いしたほうがいいと思う

大学卒業後に出身サークルのライブを見に行ったとき、毎回アンケートにいろいろ書いていたのだが、一部サークル員からはこう言われていたと伝え聞いたことがある。

「けんご？
　ああ、あの人はいつも厳しいこと書くよ。
　無視無視！」

これ聞いたときは僕はもう心が真っ白になった…。

僕の書き方が悪かったのか、彼らの器が小さかったのか。うーん。前者なんだろうな。

それから約10年後。久々に見たそのサークルのライブでは、アンケートをとっていなかった。いつの頃からか、なくなってしまったのだろうか。まさか僕が原因？いやそこまでひどいことは書いてなかったと思うけど…だいたい何十枚のうちのたった一枚だし。勘弁してつかあさい。

想像するにたぶん、サークル内でアンケートを読みたいという需要が減ってきて、そこにコストを費やす気運が少なくなった。そんなところか。たしかに、欲求がないのならやる必要はない。

でも、ホントにそれでいいのかな…と、僕は思っている。

僕は1年生のときに、OB の方が書いてくれたアンケートのことを、いまだに嬉しく思っているんだが…。

あ、その OB の方は、ケチョンケチョンには書かないです。ああ、そこか！（笑）

それはそれとしても。社会に出たら、コンサルタントに大枚払わないと、評価分析ってやってもらえないよね…。

うまくなりたいなら、いい演奏をしたいなら、お客さんに喜んでほしいなら、アンケートはお願いしたほうがいい。そして苦言にも耳を傾けたほうがいい。僕は、そう思うんだけどな…。